多読とTOEICの本当の話【Part7が一番簡単になる】

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TOEICスコアアップの即効性を求めている方はこの記事は読まなくて大丈夫です。

多読はTOEICのスコアを上げてくれます。
が、即効性はありません。

2008年から多読を実践し、定期的にTOEICを受けている私の体験に基づいて解説します。

もくじ

すぐにスコアを上げたい人は対策本をどうぞ

短期間でスコアを上げたいなら、TOEIC対策と銘打っているものをやるのが一番です。
対策本やアプリや講座など。

ただ、この記事を読んでくれている方はそういう情報を探している訳ではないと思います。

「多読ってTOEICのスコアも上がると聞いたけど本当なのかな」
「多読をやっているけどTOEICを受けようか考えている」

そんな方にはかなり充実した内容になっていますので是非ご覧ください。

多読で得られるもの

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みなさんは既に多読が何なのかをご存じだと思います。

おさらいすると、
「易しい洋書を大量に読み、ネイティブが言語を獲得するのに近いやり方で英語を習得する」
というのが多読です。

私が実感した効果は主に6つ

・英語を英語のまま理解できる
・辞書なしでも語彙を増やせる
・全体の大意をすばやく掴める様になる
・リスニング力が上がる
・スピーキング力が上がる
・ライティング力が上がる

詳しくは多読の効果に掲載しているので、気になる方はぜひお読みください。

では上記の効果がTOEICのスコアにどの様に影響するのでしょうか。

TOEIC Part7に一番効果あり

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※この記事ではスコアアップの為のテクニックなどは考慮していません。「多読で得た能力でシンプルに問題を解く」という事だけに焦点を当てています。

多読は基本的にネイティブ向けの洋書を大量に読むので、英文に対する苦手意識が無くなります。

分からない単語や箇所は文脈から推測したり、飛ばして読み進めていくので、そうする内に分からない部分を推測する力が付いてきます。

その推測力が特にPart7でめちゃくちゃ効果を発揮します

Part7は特に文章量が多いです。
素早く全体の大意を掴む必要があるので、分からない箇所でいちいち止まっていられません。

・分からない部分を推測しつつ素早く流れを掴める
・文章量が多い分、一か所が分からなくても他の部分をヒントに読める

という理由で、多読実践者にとってPart7は一番効果を感じる部分です。

またTOEICは最後まで解く前に時間切れとなる受験者が多いようです。
最後まで解くには分速150語のスピードで読む必要があるそうですが、多読を実践している方には手の届かないスピードではありません。

リーディングパートでは細かい所であまり立ち止まらず、スピード感をもって進めていると、自分が問題用紙をめくるペースが他の受験者よりもかなり早い事に気づきます。

一般的にTOEICはPart7が一番難しいとされていますが、私は推測しながら読めるのでPart7が一番簡単だとさえ思っています

情報量が少なく、シンプルに文法知識が必要なPart5の方がニガテです。

おそらくここが英語の勉強をがんばってきた人と、多読をひたすらやってきた人の違いだと思います。

勉強をがんばった人、多読に浸った人

文法知識や語彙などはその都度後から入れても良いと思うのですが、
「スピードをもって長文の要点を掴む」という力は一朝一夕には手に入りません。

多読を始めた頃の私の英語は中1レベルでしたが、細かい文法は考えずただ洋書を楽しんでいました。

本のレベルが上がるにつれ、
「この語順は何でこうなんだろ?」とか
「なんでここは過去形になってるんだろ?」とかへの「知りたい欲」が濃くなってくる時があります。

実際にその表現に出会ってから、なぜそうなるのか知りたくて文法を学ぶ。そうすると吸収率がめちゃくちゃ良かったです。

勉強を頑張ってきた人の学習順序は
「まず文法書と単語帳で勉強してから、その知識を元に英文を解読していく」
というスタイルですが、それと逆の事をしているのです。

難しい文法知識は、そのレベルの洋書を読める段階になって初めて学ぶくらいで良いのです。

文法と語彙を極めてもPart7は簡単には攻略できません。
TOEICの題材はどれも実際の生活や仕事に即していて、ネイティブが普段読んでいるものを近いレベルで理解する必要があるからです。

その為にはどれだけ多くの「生の」英語をスピードをもって読んできたかが大事です。

「生の」英語とは何ぞや

生の英語とは、ネイティブがネイティブ向けに書いた英語の事です。

ネイティブ向けの

・絵本
・児童書
・ヤングアダルト小説
・大人向け小説 、ビジネス書 etc

全て生の英語です。

では何が生の英語では無いのかというと、ネイティブ向けに書かれていないものです。

GR (Graded Reader=段階別の読み物)
ネイティブが書いてるけど英語学習者向けに作られている

ラダーシリーズ
日本人の英語学習者向けに書かれている

などです。

特にGRは多読へ取り入れるべきだとは思いますが、それをメインで読んでいては生の英語への対応力がつきません。

なぜかというと、GRは英語学習者向けに語彙や文法を制限した中で書かれているので、文法的には正しくてもネイティブが実際に使う自然な英語表現にはなっていないからです。

私がおすすめするのは、あくまでもネイティブ向けの本をメインで読みつつ、GRもサブで取り入れる方法です。
(他記事で面白かったGR20選を紹介していますので参考にどうぞ)

またラダーシリーズは日本人向けに書かれている事もあり私は読んだことがありません。
学ぶべきはネイティブと日本人の感覚の違いだと思うので、個人的にはネイティブが書いたものだけに絞った方が良い気がします。

ちなみに英語多読の入門に最適なOxford Reading Treeについて。
レベル分けされているので一見GRの様に思えますが、イギリスの小学校の教科書に採用されている事からも分かる通り、ネイティブ向けの生の英語で書かれた絵本です。

TOEICその他のパートへの効果

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英語多読の効果の1つに、「リスニング力が上がる」というのがあります。

多読を続けていると、英語を英語の語順のまま頭から理解できる様になります。
そうすると英語を聞いてから一旦日本語に訳すという手間が無いので、聞いたそばから理解できる様になるのです。

多読を続けていただけなのにリスニングパートのスコアが上がった
というのは多読あるあるです。

ただTOEICは発音も1つの関門です。
イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアの発音をそれぞれ理解する必要があります。この部分は多読では賄えないので、ただ聞いて慣れるのみですね。
スピードも然りです。

Part5,6について

私がニガテなPart5。
なぜニガテなのか考えてみました。

上記でも触れましたが、1センテンスで情報が少なく、また意味的に同じ単語の中から正解を見つけないといけない問題も多いからです。

多読で詳しい文法知識を身に着けるのは難しいので、「同じ様な意味だけど文法的な用法に微妙な違いがある」といった問題は、多読だけではカバーしづらいです。

ただその代わり、難問とされる「文脈からすばやく判断する」という問題はあまり悩まず答えられます。
Part6も同様に、空欄に適したセンテンスを選ぶ問題は、流れに添っている文を選べば良いので比較的簡単に感じます。

TOEICの参考書をやってみて思うのは、英文の大意をすばやく理解する必要がある問題が、一般的に難問とされている様です。
それをするには沢山の読書をしなければならないので、大半の英語学習者にはハードルが高いのかもしれません。

「すばやく大意を掴む」という能力こそ多読で得られる素晴らしい効果の1つなので、難問だと感じる事もなく解けるようになります。

あとの残りの細かい文法知識・語彙は、必要に応じて入れていけば良いのです。

多読実践者はTOEICを受けるべきか

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昇進や単位取得の要件とかの理由が無いのなら、受ける必要は無いと思います。

ただ、ちょっとしたスパイスとしてたまに受けてみるのはアリかなと思います。
それについて解説します。

私の英語学習とTOEIC

私が一番初めにTOEICを受けたのは2010年で、単純にどれくらいの点数がとれるのか興味があったからです。
その時は後半はほとんど間に合わず、TOEICの難しさに撃沈していました。

私は社会人になってから英語の学習を始めました。
通信教材から始めて英会話スクール、当時スマホは無かったのでニンテンドーDSの英語学習ソフト、言語交換のサイトで外国人とコミュニケーションをとってみたり、オンライン英会話を頑張っていた時期もありました。

それぞれに得るものは沢山あったのですが、当初から続いているのは多読と、好きな洋楽を完コピして歌うという事でした。

洋楽の完コピというのは英語学習の為ではなくただ面白くてやっていたのですが、これがめちゃくちゃ英語力を上げてくれたので、これについてはこちらで解説しています

つまり、勉強としてではなくただ楽しくてやっていた事だけが今も続き、それが私の基礎の英語力を押し上げてくれたという事です。

私が普段やっているのは洋書を読むことと好きな英語の曲を歌う事ですが、
TOEIC受験の直前1,2ヶ月は普段とは違う「お勉強モード」になってみて、参考書などをやっていました。
それはそれで、普段感じていた小さな疑問とかが解消されて面白かったです。

「短期でギュっと覚えたものは、使っていないと同じ期間で忘れていく」と思っているのですが、それでも頭の中に残るものもあって、「英語の知識」は確実に上がりました。

なので、ごくたま~に「お勉強モード」をしてみるのはアリなんじゃないかなと思ったりします。
(個人的には1,2年に1回くらい)

ただ大事なのは、試験対策のお勉強に染まってはいけないという事です。

試験対策のお勉強に染まらない様にするには

正直、そこまでならもうTOEIC受けるなよと自分で突っ込みたくはなりますが、今やゲーム感覚でTOEICを受験してる感じです。

以下、私が独自に開発(?)した
多読で鍛えた英語脳のままTOEIC対策もちゃっかりしたい」人向けの進め方です。

※あくまで多読しつつTOEICも受けてみたいと思う人向けです。TOEIC受験を推奨している訳ではありません。

リーディングパート

リーディングパートの特にPart6や7の問題では、参考書の解説を読む時に本文の日本語訳を読みたくなると思いますが、本文を読んで意味が理解できたら日本語訳は読まない方が良いです

せっかく多読で「英語のまま理解する力」を手に入れたのに、日本語訳を見て安心したいという感覚を入れてしまっては勿体ないです。

間違えてしまった問題は、もう一度英語の本文を見てじっくり考え直しましょう。
解説を読めば日本語訳はいらないハズです。

読んでも意味の分からなかった部分や単語があり、しかもそれが重要っぽい場合のみ、日本語訳で確認すると良いかと思います。

リスニングパート

リスニングパートも同じです。
間違えてしまった所の英文を見れば、ほとんど解決すると思います。
あるあるだと思いますが、英文を見てみると「え?こんな簡単なこと言ってたの?」となる場合が多いです。
英文を見て意味が分かれば、日本語訳を見る必要はありません。

単語帳

単語帳は、まず「単語の例文を見て意味が分かる・推測できる」ようになる事を優先して下さい。
単語を見て日本語を言えても、実際に文中で出てきた時にすぐに意味が出てこない時があります。

多読を実践している人は、
「文章の中にあると大体の意味が想像できるけど、単語を単体で見たら意味を答えられない」
と感じる人は多いと思います。

一問一答クイズ王を目指している訳では無いので、文中で意味が分かる事が一番大事です。

まとめ : 多読実践者はTOEICを受けるべきか?

この項のまとめは、

TOEICなど何らかの試験を受けてみるのは、英語に浸る生活の「スパイス」みたいな感じになって面白いかも。
でも試験対策に染まってはいけない。

です。

なぜ私たちは洋書を読めないのか

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英語の成績はめっちゃいいのに
「洋書を読もうとすると手も足もでない」
「子供向けの本でさえ難しい」
という経験をする方がいます。

なぜそんな事が起こるのかと言うと、学校で習う英語は精読のみで
「文章を日本語に訳して完璧に理解する」
という事がメインだからです。

学校英語は一文に時間をかけて100%の理解を目指し、読める範囲を少しずつ広げていきます。
そのため読む量も圧倒的に少なくなってしまいます。

それに対して多読は、70~90%の理解だけどスピードに乗ってすばやく全体像が把握でき、大量の読書が可能になります。

洋書が読めない決定的な理由は、

・読むスピードが遅く全く進まない
・知らない単語が出てきたら意味を調べないと気が済まない
・完全に理解するまで何度も読み返して日本語に訳そうとする

という事を繰り返し、序盤で疲れてしまい一冊読み切る前に挫折してしまうからです。

人生を豊かにする多読

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試験対策に多読で1ヶ月◯十万語!
というやり方も1つの多読の活用方法だと思いますが、私としてはシンプルに一冊の本を楽しんでほしいです。

洋書を原語で読めると、日本語訳では表現しきれないユーモアや空気感をダイレクトに感じ取れます。
日本で未発売の本も、海外から直接取り寄せて一足先に読む事も可能です。

当初は英語学習の一環として始めた多読でしたが、今では生活の欠かせない一部となり、私の人生に彩りを与えてくれています。

あらゆる英語力の素地を作り、あなたの「本当に使える英語」が手に入る多読。

長期的には試験のスコアアップへの強力な武器ともなります。
ぜひ今から始めてみませんか!

Nachi
中3の時の私の英語力は中1。
英語が嫌いなまま大人になりました。

社会人になってからは「大好きなミュージカルをブロードウェイで観たい」→よし英語や!
という単純な動機で英語学習をスタート。
直後に多読と出会う。

叶うなら本を読むだけの毎日を送りたい。
洋書とコーヒーを求めて日々梅田界隈を彷徨っています。
梅田ダンジョン完全攻略者。多読歴17年。


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