英語多読は効果なし?多読歴16年の私が解説【中1レベルの私でも出来た】

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「英語の多読をやってみたいけど、本当に効果はあるの?」
という方へ多読歴16年の私が今まで得た知見を元に解説していきます。

まず始めにお伝えしておきたいのが、当初の私の英語は中1レベルだったという事です。

それにも関わらず、今では数百ページの洋書を楽しんで読める様になっています。
多読は全くハードルの高いものではないんだ、という事を念頭に読んで下さると嬉しいです。

もくじ

英語多読の効果とは

私が特に実感している多読の効果は以下の通りです。

  1. 英語を英語のまま理解できる様になる
    →日本語への翻訳が要らなくなる
  2.  全く知らない単語でも、文脈から推測して語彙を増やす事ができる
    →単語帳をひたすら丸暗記の虚しさに気付く
  3. 分からない部分があっても全体の大意を掴める様になる
    →全く知らないジャンルでもある程度理解できる応用力がつく
  4. リスニング力が上がる
  5. スピーキング力が上がる
  6. ライティング力が上がる

恐らく多読を今から始めようとする方にはちょっと信じられない様な効果たちばかりかもしれません。
以下から具体的に解説します。

英語多読の効果① 英語を英語のまま理解できる様になる

これが英語多読の一番の肝の部分です。
最大にして最高のメリット
「英語の語順のまま理解できる」
ことは、全ての英語スキルの根本となります。

まず多読のルールとして、

・辞書は使わない (できるだけ)
・分からない所は飛ばす
・合わない本は投げる

という前提で読んで行きます。
少し細かな所まで踏み込むと、

・返り読みをしない
・100%の理解を目指さない

というのもあります。

「返り読み」というのは、英語と日本語の語順がほぼ真逆な為に起こる、ごく当たり前の現象です。
一時期SNSでバズっていたこの様な画像は見たことがありますか?

word-order

英語と日本語の語順を対応させたものですが、主語以外はキレイに正反対になっています。
そのせいで、文頭から英語を読んでいったにも関わらず、もう一度反対側から読み直して日本語に訳そうとしてしまうのです。

この

・返り読みをしない

というルールで日本語に訳すクセを無くし、大量の英語を読む事で英語独特のリズムを理屈抜きで体感して、頭から読んだ順番にそのまま理解できるという効果を得られるのです。

とはいえ、私もこの「返り読みをしない」というルールには中々順応できませんでした。
日本語に訳してはいなくても、ついもっと理解したいという思いで2回読んでしまうクセが抜けませんでした。

この場合は、「100%の理解を目指さない」というルールも同時に守れていなかった時です。

英語多読の効果② 全く知らない単語でも、文脈から推測して語彙を増やす事ができる 

「知らない単語なのに辞書なしで意味が分かる?」

多読を始めてみようと考えている人が一番意味の分からない部分だと思います。詳しく解説していきます。

絵本から始める

多読は、まず英語の絵本から始めるのが理想的です。今まで英語に触れてこなかった方は特に絵本から始めましょう。
絵本は知らない単語に出会っても、絵からヒントを得られるので一番分かりやすい例だと思います。

例えば以下の画像と共に
He is looking at the guinea pig.
と書かれていたらどうでしょうか。

guinea pig

文章だけでは「guinea pigってなに?」
となりますが、画像から少年が見つめている動物がguinea pigなのだなと分かります。
絵本でも同じ様に、知らない単語が出てきても絵から意味が分かりやすいです。

絵が無い本は?

では押絵の無い文中で分からない単語が出てきたらどうするのでしょうか。
その時は前後の文脈で何となくこういう意味なんだろうな〜という推測が出来るようになってきます。
推測できない時は、飛ばします

えっ、と思うかもしれませんが、少々の単語を飛ばしたとしても、ストーリーの流れは大体わかります。

イメージが湧き辛いと思うので、具体的に作中の文を使って説明してみます。
多読におすすめの児童書「A to Z Mysteries」の第一巻 「The Absent Author」からの引用です。

Dink yanked a brush through his thick blond hair.

「A to Z Mysteries The Absent Author」 by Ron Roy

この場面では少年Dinkは急いで出かける準備をしている所です。
ではこの文中の
“yanked”
が分からず、
“thick”
の意味も少し曖昧だとします。

分からない単語を飛ばして、分かるところだけを拾うと
「ブラシをブロンドの髪に…、通しているのかな?」
と想像できます。
この部分はとりあえずこれで良しとして読み進めます。
すると、

Dink yanked his backpack out of his closet.

「A to Z Mysteries The Absent Author」 by Ron Roy

また”yanked” が出てきた!
今度はバックパックをクローゼットから取り出している所だな。

両方の文に共通してるのは「何かを引いている」イメージかな?
という所に気付ければしめたものです。
“yank” は「グイッと引っ張る」といった意味です。

初めからこの様に推測する事は難しいですが、沢山の本を読んでいく内に少しづつ出来るようになってきます。

単語帳を回すつまらなさに気付く

英単語の意味を調べると、日本語で沢山の意味の羅列が出てきます。
これらをただ機械的に暗記しただけでは、肌感覚として獲得していないので、実際の文中で見かけた時にどの意味を採用すればいいのか一瞬では分かりません。

でも多読で培った「分からない単語に出会った時の推測力」というのは、その単語のコアイメージを獲得できます。
その結果、読んでいるうちに自然と分かる単語が増え、そのシーンに合わせて柔軟に英文を解釈する力もつくのです。

これが私が多読を通して「単語帳をひたすら丸暗記する事の虚しさに気付いた」経験です。

※ただ単語を暗記するという事を否定しません。
私もやっていましたし、それが役にも立っています。専門的な用語など、とりあえず覚えるしか無い様なものもあります。
ただ、英語を勉強しよう!まず単語帳を10周して丸一冊覚えよう!とするなら、英語の本を読む事をおすすめしたいなと思います。

英語多読の効果③ 分からない部分があっても全体の大意を掴める様になる

→全く知らないジャンルでもある程度理解できる応用力がつく

この項は、一つ前の「英語多読の効果②」と重複する部分が多いです。
前項では1センテンスごとに見ていましたが、ここではもう少し視界を引いて全体を見ていきます。

前項でお話した通り、分からない所は思い切って無視してしまっても大丈夫です。
大事なのは細かい単語1つ1つの意味が完全に分かる事ではなく、全体像が見えてストーリーを追えるかどうかです。

・一部わからなくてもとりあえず読み進めてみる

というのも有効で、次のセンテンス、次の段落を読んで初めて意味が分かる時もあります。

そうやって続けていく内に、分からない単語が多少あろうが、1,2センテンス分からない所があろうが、全体の大意が掴める様になってきます。

数百ページの小説などを読み始めたら、段落丸ごとよく分からない、なんなら1ページ丸ごとよく分からないなんて事も出てきます。
それでもそこで迷子になってしまう事なく読み切れる力が、多読を続けていれば身につくのです。

そしてそれがこの項の冒頭で書いた
「全く知らないジャンルでもある程度理解できる応用力がつく」
という事に繋がります。

知らないジャンルへの応用力とは

これについて具体的な例を挙げてみます。
私は自分の英語力のチェックも兼ねて数年に一度TOEICを受けています。
TOEICは本当に英語力の証明になるかは賛否両論あるので何とも言いませんが、自分の中で「こういう条件で受ける」というものを決めておけば、ある程度の指標にはなると思います。

普段私は基本的に洋書を読む事しかしていませんが、TOEICの長文パートの英文は知らない単語がいくつもあっても大半を理解できました。
TOEICは後半の長文パートへ行くほど難しいとされますが、私は逆に長文パートの方が推測して読めるので簡単だと感じています。

TOEICの内容はビジネス英語ですが、普段小説しか読んでいない私でも理解できたのは
「全く知らないジャンルでもある程度理解できる応用力」
のおかげです。

多読を続けていると、その応用力を自然と獲得する事ができるのです。

英語多読の効果④⑤⑥ リスニング・スピーキング・ ライティング力が上がる

リスニング力

多読を続けてなぜリスニング力が上がるのかというと
「英語の語順のまま理解できるから」
です。

英語が聞き取れない原因は、「発音」「スピードが速い」「語彙の難易度が高い」といった事がありますが、そもそも「日本語と語順が逆なので聞いたそばから訳していけない」という要素が大きいです。

リスニングを試される場面で想像できるのは、英語で会話している時、アナウンスや講演など聞いている時などでしょうか。
訳すまで待ってくれる会話相手ならいいのですが、例えば空港・電車の案内アナウンスや出席している講演やミーティングの話者はあなたの事を待ってくれませんね。
日本語に訳している時間など全く無いのです。

多読を続けると英語を聞いた順で理解できる力がつき、その結果自然とリスニング力も上がります。

スピーキング力

スピーキング力とライティング力に関しては、圧倒的なインプット量のおかげです。

英語学習において「スピーキング力をつけるには、とにかく会話をしまくりましょう」とよく言われます。
英語での会話に慣れ、外国人と話す度胸をつける為にも会話を沢山するのは大事な事です。

とはいえ、いくら頑張って何かを発話しようとしても、その元となるものが無ければ何も出てきません。
「会話の中で相手が使った英語表現をマネして使ってみる」というのは、その表現を獲得するのにとても良い手段なのですが、それだけではインプット量が少なすぎると思います。

多読では大量の英語表現に触れるので、英語でよく使われる語彙や表現は何度も繰り返し目にする事になります。
それらは目には見えませんが頭の中には着実に蓄積されているので、会話をする時にパっと表現が口をついて出てくる事があります。もしくは無意識でなくとも「あ、あの表現を使ってみよう」と思いつく事もあります。

もし英会話スクールなどでスピーキングをする機会のある方は、ぜひ多読を取り入れてみて下さい。
ただ会話をしているだけの時よりも、スピーキング力の上達スピードが上がるはずです。

ライティング力

ライティングに関しても同じ理由ですが、特にライティングは「読みまくる」ことが大事です。

多読で大量の英語に触れていると自然な形で文法が身についていきます。
これは私たちが日本語を獲得した課程と似たような理屈です。

例えばカタコトの外国人が話した日本語が少しおかしかったら、まず違和感が先に来ると思います。
それから何故おかしいのか文法的に考えて、その人に教えてあげたりしますね。
または「何故か分からないけど、そういう風には言わないんだよ」で終わってしまう時もあると思います。

その「何故か分からないけど違和感がある」に気付ける様になるのが、多読の効果なのです。
多読を通して正しい英語に沢山触れているので、正しくない英語に違和感を感じる様になるのです。

英文法の本で文法を学ぶのもとても大事ですが、それに加えて多読でまず感覚としての文法を身につけてから学ぶと、見え方も変わってきます。
多読では細かい文法知識を学ぶのは難しいので、「英語でこういう言い方をするのは、そういう文法のルールがあったからなのか!」と、実体験を持ってから学ぶので吸収率も高まります。

そういった肌感覚としての文法と、大量のインプットによって得た豊かな表現方法や語彙でライティング力も自然に上がるのです。

終わりに

英語多読の効果について実体験を基にお話させて頂きました。

長年の多読を通して様々な効果を感じていましたが、今回この様にしっかりとまとめて言語化をした事が初めてだったので、私も書きながら「そういう事だったのか!」と沢山の発見がありました。

この世の中には英語のソース(情報源)しか無いものは無限にあると思います。
日本語に翻訳されていないものは、英語が分からなければ一生知る事の出来ない情報になってしまうかもしれません。
英語が理解出来るというのは、文字通りあなたの世界を何倍にも広げてくれるのです。

具体的な多読のやり方も解説しましたのでよければ合わせてご覧下さい。
英語をそのまま理解できるという楽しさを、一人でも多くの方に体験してみて欲しいです。

こんなに長い記事を読んで下さりありがとうございました。

Nachi
中3の時の私の英語力は中1。
英語が嫌いなまま大人になりました。

社会人になってからは「大好きなミュージカルをブロードウェイで観たい」→よし英語や!
という単純な動機で英語学習をスタート。
直後に多読と出会う。

叶うなら本を読むだけの毎日を送りたい。
洋書とコーヒーを求めて日々梅田界隈を彷徨っています。
梅田ダンジョン完全攻略者。多読歴17年。


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