【書評】In the Lives of Puppets

In the Lives of puppets

2023年Goodreads Choice AwardsのSF部門で一位になった
「In the Lives of Puppets 」を読みました。

【あらすじ】
森の中の木の上に作られた家で共同生活を送るアンドロイドとロボット、たった一人の人間の過去が明らかになっていくストーリー。

3つに要約した感想はこちらです。

■早くも2025年のベスト洋書トップ3に入りそうな予感。最高に面白い。

■プロローグの詩的な雰囲気、美しく豊かな感情表現。ユーモアがあり生き生きとしたキャラクターの個性全てが良い。その一方で殺人を何とも感じない冷徹なアンドロイドや激しいアクションシーンも。

■全体的にはスラスラと読めるが、語彙が難しく読みづらいチャプターと読みやすいチャプターの差が大きい。始めの数チャプターを乗り切れば後ろへ行くほど読みやすい。

以下に補足の感想を書きます。

もくじ

チャプターごとの難易度の差が激しい

読みやすさレベル : 7.5 ★★★★★★★★☆☆
総語数 : 129000(概算)

メインキャラのロボットやアンドロイドが話す言葉がシンプルで分かり易いので全体的には読みやすいです。
なぜかと言うと、人間同士のスラングみたいなのが無いのと、皮肉が理解できないロボットがいるから。
そのロボット達と話す人間の言葉も自然とシンプルになっています。

とはいえ賢いアンドロイドのセリフや状況説明、ナースロボットが使う語彙は難しい部分もあるので読みづらい場合はちょこちょこ単語を調べながら進めるといいかと思います。
始めの5-6チャプターは突っ掛かりながらでも、語彙に慣れてきたらスピードに乗ってスムーズに読めます。

中盤、終盤にも語彙の難しいチャプターがいくつか出てくるので、スラスラと進む部分との差が大きい作品です。

たまに語彙を調べるのはアリ。でも注意が必要。

本のレベルが上がるにつれ、本全体としてのレベルはそんなに高くなくても最初からスムーズに読むのが難しい時があります。
そんな時は読み始めの数チャプターは少しであれば単語を調べても良いと思っています。

とはいえこの読み方は注意が必要で、多読にある程度慣れてからの方が良いです。
明確には言えませんが、数百万語を超えてからかなと。
分からない単語があっても推測して読める力がついて、それが当たり前になってからの方が良いでしょう。

そうでないと分からない単語で常に止まって、調べないと気が済まなくなってしまいます。

丁寧な心情表現、詩的、SF好きには超おすすめ

中々自分では思いつかない詩的な表現が多くて個人的にすごく好きです。
読んで忘れてしまうのがもったいないので書き留めていますが、それを見返してもその場面を思い出して心にぐっときます。
言葉が本当に美しい。

アンドロイドたちのVicに対する愛情、奇跡の様に美しいものと表現する心理、忠誠心が心に迫ります。

また著者によるあとがきも良いので是非読んで欲しいです。
最後の一文はメモに書き留めました。

個人的に2025のトップ3に早くも入りそうな

In the Lives of Puppets

ご興味あれば是非!

Nachi
中3の時の私の英語力は中1。
英語が嫌いなまま大人になりました。

社会人になってからは「大好きなミュージカルをブロードウェイで観たい」→よし英語や!
という単純な動機で英語学習をスタート。
直後に多読と出会う。

叶うなら本を読むだけの毎日を送りたい。
洋書とコーヒーを求めて日々梅田界隈を彷徨っています。
梅田ダンジョン完全攻略者。多読歴17年。


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