【子供でもできる】英語多読のやり方を多読歴16年の私が解説

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「英語多読のやり方は?何から始めたらいいの?」
という疑問にお答えします。

当初の私の英語は中1レベル
でも今では数百ページの洋書を楽しんで読んでいます。
英語多読はとってもハードルの低いものなのです。

16年という多読歴から得た効果的な進め方のコツや考え方、おすすめの本などを交えて具体的なやり方を解説していきます。

もくじ

英語多読のやり方

さっそく多読を始めたい!楽しい多読の道はこんな感じで進みます。

多読の3原則と進め方

多読の3原則とは、

・辞書を使わない(できるだけ)
・分からない所は飛ばす
・合わない本は投げる

多読の大原則は、スラスラと読めるレベルの本を楽しく大量に読むこと。
辞書を使わなくても読めるレベルの本を選ぶ事が大前提です。

分からない単語に出会う度に辞書を引いていたら、時間がかかりすぎて挫折します。
分からない単語は飛ばすか、前後の文脈から推測してみて下さい。
それを続けて行く内に本当に推測力がついてきて、色んな文脈への応用力がついてきます。

・「できるだけ」辞書を使わない

と書いたのは、読書中は極力使わず、読み終わってから、もしくはせめて1チャプター読み終わってからどうしても気になる単語を調べてみるのは良いと思うからです。

またよく分からない箇所も、「分かるまで何度も読む」なんて事はせずに飛ばします。

「分からない所を飛ばしてたら内容を理解できないじゃないか」
と思うかもしれませんが、大丈夫です。多少の単語や文を飛ばしてもストーリーは楽しめます。

そして「この本つまらないな」「難しすぎて分からないな」と思ったらすぐに読むのをやめましょう。
「難しい本を読み切ってこそ英語力も大幅に上がるはずだ」
なんて考えは多読では捨てて下さい。

難しい本を長時間かけて一冊読み切るなら(高確率で挫折すると思います)、その時間で易しい本を数十冊読んだ方が遥かに身につきます。

もう少し多読の前提を加えると、

・返り読みをしない
・70%くらいの理解度があればよし

です。

返り読みとは、一度文章を読んだ後で反対側からもう一度読み直す事です。
英語と日本語の語順は反対になっている事が多いので、反対側から日本語に訳して理解しようとしているのです。

多読では英語を英語のまま理解する事が基本です。
洋書を楽しめるレベルで読む為にはスピードに乗って読む事が大切なので、日本語に訳しているとスピードが大幅に遅れ、疲れるので楽しめません。
大事なのは「大筋のストーリーが追えて楽しめる」ことなので、だいたい70%以上の理解度があれば読み進めていきます。

日本人の性というか、受験英語の弊害というか、私たちは英語を100%理解しようと頑張ってしまいます。
多読を続けて、日本語に訳すクセ・完全理解を目指すクセを矯正していきましょう。

この辺りは英語多読の効果でも詳しく説明しているので、よければ合わせてご覧下さい。

「スラスラ読むなんて、そもそも英語が分からないから勉強したいのに、なんだかめっちゃハードル高そう…」
そんな事は全然ありません。
では具体的に何から始めればいいのでしょうか。

絵本から始める

childrensbook

まず英語多読は絵本から始めるのが理想的です。
「いい大人が絵本を読むなんて…」と思うかもしれませんが、学校英語では全く見たことの無い単語が沢山出てくるので侮れません。

最初は1ページの文字数の少ない絵本からスタートしましょう。
絵本は知らない単語が出てきても絵から推測できるので、辞書を引かずに読み進められます。
挿絵を楽しむ事も忘れずに。

まずは英語で本を読むという事に慣れて下さい。
1冊読み切ったら「英語の本を読み切った!」という達成感を感じて下さい。
内容を楽しみつつ読み切れたら、すぐに次の本が読みたくなるはずです。絵本なら1日2冊以上読む事も可能なので、どんどん読んでいきましょう。

まず多読初心者におすすめしたいのは、定番中の定番

オックスフォード・リーディング・ツリー

略してORTです。

ORTはイギリスの小学校の国語の教科書として採用されています。
ネイティブの子供が実際に「国語」としての英語を学ぶ為に作られており、実生活に即した生きた英語を吸収できます。

レベルは1~10まであり、少しずつレベルアップが可能です。
ORTは多読のスタートに最適なので一番のおすすめです。

もしORTが手に入らない場合は、洋書を扱っている大きな書店に行って洋書絵本コーナーを覗いてみて下さい。
本を選ぶ基準は何でも構いません。表紙が可愛いとか、タイトルがめっちゃ気になるとか。

パラパラとめくってみて絵をヒントになんか読めそう・面白そうと思ったらそれにチャレンジしてみましょう。
一番最初は、文字は少なければ少ないほど良いです。

もしくは最近は英語多読用として易しいレベルの洋書を扱っている図書館が増えてきました。
私が多読を始めた頃は地元の図書館にはほんの少しの洋書絵本しかなく、地域の他の図書館から取り寄せてもらったり、そもそも探している本の取り扱いが無かったり等かなり苦労しました。

今は多読図書を手に入れるハードルがかなり下がってきているので、多読を始めるチャンスです。

■その他のおすすめ

I Can Read!シリーズ

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Step into Readingシリーズ

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Oxford Bookworms Starters

Oxford Bookwormsはレベル別の読み物(=GR)と呼ばれます(詳細は後述します)

児童書を読んでみよう

絵本に慣れてきたら今度は児童書も始めてみて下さい。ネイティブの子供が読んでいるものなので、生の英語に触れることができます。
レベルは急に上げず、難しいと思ったらすぐに他の本へ行きましょう。

またオーディオブックを使っての「聞き読み」もおすすめです。
文字通りオーディオブックを聞きながら文字を追って読んでいくのですが、よりストーリーが頭に入りやすくなり読む難易度が下がります。

私が読んだ児童書の中で特におすすめはこちらの5つです。

Magic Tree Houseシリーズ

By Mary Pope Osborne

兄妹のタイムトラベル冒険譚。著者が朗読しているオーディオブックがめちゃおすすめ。
優しい声が物語の雰囲気にピッタリです。

Marvin Redpostシリーズ

By Louis Sachar

多読図書でよく取り上げられる「Holes」のLouis Sachar著。
小学生のリアルな生活が楽しめるシリーズ。

A to Z Mysteriesシリーズ

By Ron Roy

少年少女探偵団による事件解決もの。謎解きの続きが知りたくてどんどん読んでしまいます。
メインキャラクターの3人のキャラがそれぞれ立ってて面白い。タイトルがA~Zそれぞれから始まる全26巻です。

Magic School Busシリーズ

By Joanna Cole & Bruce Degen

(これは絵本のカテゴリーかな)
ちょっと(かなり)風変りなMs.Frizzle先生に連れられ、壮大なフィールドトリップを通して科学の基礎を学べるシリーズ。隅々まで描きこまれた可愛い絵柄や、細かい所に色々と小ネタがあってそれを探すのも楽しい。
眺めているだけでもワクワクしてしまうシリーズ。

Goosebumpsシリーズ

By R. L. Stine

子供向けのホラー小説。オーディオブックの声優さんの演技力が凄く、怖さをめちゃくちゃ煽られます。
シリーズが沢山あるのでややこしいのですが、「Welcome to Dead House」がGoosebumpsの第1巻目です。
後ほど刊行されたClassic Goosebumpsというエディションでは #13となっているみたいです。(ほんとややこしい)

以上の本たちと共に次項のGRも同時に進めていって下さい。

グレイデッド・リーダーを取り入れよう

oxford

グレイデッド・リーダー(GR)とは、英語学習者に向けた段階別の読み物の事です。
いくつかの出版社が出しており、こちらもStertersという初級レベルから少しずつ難易度を上げていけます。

絵本と違いストーリーも本格的なミステリ風のものがあったり、有名な小説や映画をリライトしたものだったり、大人が読んでものめり込めるものが多いです。
ただGRは非ネイティブが英語を学習する目的で作られている為、語彙や文法がレベルごとに制限された元で書かれています。

ORTはレベルがあるとはいえ、ネイティブが実際に使う自然な英語であるのに対し、こちらは文法的には正確だけどより「教科書的」な英語になっています。

日本語を学ぶ外国人が使う教科書は確かに正確な日本語だけど、普段の会話でそういう風には言わないかな、みたいな感じです。

なので、GRも取り入れつつ、メインはネイティブ向けの本で進めていくと良いかと思います。

主なGRは、
Oxford Graded Readers
Pearson English Readers
Macmillan Readers
などその他沢山あるので興味のある方は調べてみて下さい。

私が実際に多読で読んでみて面白かったおすすめGR(レベル1~2)をご紹介します。
※下では紹介していませんが、Oxford Bookworms Libraryはレベル1の前にStartersというレベルがあります。

おすすめGRレベル1~2

The Monkey’s Paw
Leve1 総語数4900


Oxford Bookworms Library: Level 1:: The Monkey’s Paw (Oxford Bookworms ELT)

願い事を3つ叶えてくれるという「猿の手」を手に入れたMr.White。だがその願いは悲惨な結果をもたらすのだと忠告される。愛する妻も息子もいて何も望むものは無いと思っていたMr.Whiteは何を願うのか。そしてその結末は…。

The Coldest Place on Earth
Leve1 総語数5500


The Coldest Place on Earth (Oxford Bookworms Library)


1910年、初の南極点到達を目指してそれぞれ出発したイギリス人探検家のロバート・スコットとノルウェー人探検家のロアール・アムンセン。しかし地球で最も寒い南極での旅は長く過酷なものだった。これは歴史上最も危険なレースとなった二人の探検家の物語である。

The Murders in the Rue Morgue
Leve2 総語数6995


Murders In The Rue Morgue (Oxford Bookworms Library, Crime & Mystery)

エドガー・アラン・ポーによる「モルグ街の殺人」のリライト版。ある密室で起きた惨殺事件。多数の証言者が事件当時に何者かの声を聞いていたが、ある者はそれはフランス語だったと言い、ある者はイタリア語だった、またある者はスペイン語だったと証言した。謎が深まる事件の真相とは…。

この他のおすすめは私が読んで面白かったグレイデッド・リーダー【レベル別】に掲載していますので、良ければ合わせてご覧下さい。

難易度の高い児童書&易しい大衆小説

易しい児童書に慣れてきたら、難しめの児童書も読み始めてみましょう。
最も優れた児童文学に与えられるニューベリー賞受賞作から、おすすめの3作品です。

Hatchet
By Gary Paulsen


Hatchet

飛行機が墜落し大自然の中たった一人になった13才の少年のサバイバルストーリー。次々と現れる問題に苦戦しつつも対処していく様がとても面白いです。

Holes
By Louis Sachar


Holes (Holes Series)

砂漠のど真ん中のとある矯正施設。そこに収容されている少年たちは、毎日毎日巨大な穴を掘らされている。
一体この穴の意味とは…?
無実の罪で収容された不運な少年スタンリーの家族と友情を取り巻く物語。

The Giver
Lois Lowry


The Giver (Giver Quartet, 1)

全てが完璧にコントロールされた世界。人々は与えられた職に就き、不平等や対立、不正義といったもののない理想郷で生活をしていた。
「The Giver」という特別な役割を与えられた12才のジョナスは、苦しみながらも少しずつ真実に気づき始める…。
これはオーディオブックもとてもおすすめ。

そしてニューベリー賞ではありませんが、言わずと知れた

Harry Potter
By J. K. Rowling


Harry Potter and the Philosopher’s Stone

オリジナルの英国版に加え、アメリカ版も存在するので注意して下さい。
第1巻はタイトルも違い、
英国版 :Harry Potter and the Philosopher’s Stone
アメリカ版 :Harry Potter and the Sorcerer’s Stone
となっています

実は私は読んだことが無いのですが、多読を実践している方はHarry Potterを目指して進んでいる方が多いのでご紹介しました。
映画で内容の予習もできますし、ファンの方にはこの上ない多読図書ですね。

さて、難度の高い児童書も楽しめる様になったあなたは、もうすでに大人向けのペーパーバックを読める力が付いているはずです。
書店の洋書コーナーへ行き、気になる本を手に取ってどんどん多読の世界を広げていって下さい。
私が最近読んで、読みやすい&めっちゃ面白い!と感じた2冊をご紹介します。

The maid
By Nita Prose


The Maid (A Molly the Maid mystery)

Regency Grand Hotelでメイドとして真面目に働くモリーは、ある日客室のスイートで死体を見つける。
謎解きのミステリーだが、少し(かなり)空気の読めないモリーの性格がめちゃくちゃ面白くて大好きになる。他の登場人物たちも魅力的。予想もつかない展開で、読み終わってからすぐに再読してしまった。

The housemaid
By Freida McFadden


The Housemaid

ミリーは裕福なウィンチェスター家で住み込みのメイドとして雇われた。奥様のニナ・ウィンチェスターはありえない程に家を汚し、若く美しいミリーに嫉妬をして陰湿ないじめをしており、ミリーの屋根裏部屋はなぜか外側からのみ施錠できる様になっていた。
だがウィンチェスター夫妻はミリーの本当の正体を知らない…。

全くの偶然なのですが、2冊ともメイドについての物語です。
どちらもすごく面白かったので、また改めてブックレビューを書くつもりです。

英語多読のやり方 :1日にどれ位読むの?

question

始めの絵本の段階では、一冊の本はその日の内に読みきれると思います。
児童書やGRを始めたらページ数が増えてくるので、1日には読み切れなくなってくるかもしれません。

読むスピードや多読に割ける時間は人それぞれなので、1日にこの位の時間を読んで下さいとは明確に言えません。
まずは自分が楽しめるペースというのを大事にして下さい。
それから少しずつ読む時間を延ばして行くと良いですね。

ちなみに私は時間があまり無い日は30分、普通の日は1時間、たっぷり時間が取れる日は2~3時間といった感じです。(1日中引きこもって読む場合は5,6時間もありえるかも)

皆さん仕事をしながら、家事・育児をしながら、学校に通いながら時間を見つけて多読をする方も多いはずです。
プレッシャーを感じず楽しさをキープできる範囲で読んでみて下さい。

多読は継続して続ける事で効果が出てくるので、気楽に、頑張らずに、続けてみましょう。

英語多読のやり方 : 総語数とは

総語数とは、一冊の本に出てきた全ての単語をカウントした数字です。単語の種類数ではないので、同じ単語が何度も出てきてもそれぞれカウントします。
I red the book.
とあったら4語です。
GRなどはその本の総語数が予め記されていますが、自分の読んだ本の総語数を知りたい場合は「本のタイトル 総語数」などで検索すると、有名なタイトルはすぐにヒットすると思います。

語数を記録する楽しさ

一冊読み終えたら、是非タイトルや語数、日付を記録してみて下さい。簡単な感想も添えても良いですね。
継続のモチベーションになるのは勿論のこと、後から見返してもとても興味深いです。
同じ本を2回読んだ時も、2冊読んだとしてカウントして下さい。

少し恥ずかしいですが、私の多読記録はこんな感じでした。

how-to-tadoku

この頃はどうやら児童書を読みつつ、息抜きに絵本や一度読んだ本を挟んでいるようですね。
久しぶりに再読してみると、以前は分からなかった所がクリアになったりと色々発見があります。

スラスラと読む感覚を再確認できるので、「今のレベルより易しいものを挟む・再読する」はおすすめの進め方です。

100万語を目指す

面白いと思える本をどんどん読んでいき、読書記録で累計の総語数を出してみて下さい。
5万語、10万後、20万語と進めば進むほどモチベーションも上がります。
多読では100万語がひとまずの目標とされています。

多読の道程では、自分のレベルの停滞を感じたり、読書が楽しめないという状態になる事もしばしばあります。
そんな時は思い切って多読から離れてみて下さい。
気分が乗らない内は映画やドラマを楽しんだり、一度英語から離れてみてもいいかもしれません。
また「やってみようかな」という気持ちになったら再開しましょう。

数百ページの洋書を読める様になって思う事

英語が中1レベルだった私は、今は「読みたいけど難しすぎて無理だ」と思う本はかなり減ってきました。
とはいえ思う事は、100万語がゴールでは無いという事。
ネイティブの大人向けの本でも、もちろん難易度はそれぞれな訳で。今も自分のレベルに合いつつ読みたい本探しを常にしています。(その工程も楽しい)

お勉強と思っていないのに、1人で楽しんでいるだけで英語が分かってくるって魔法のようだと思いませんか。

1人でも多くの方に洋書をそのまま理解できる楽しさを知って貰えたら嬉しいです。

より詳しい多読の情報は

私が多読を始めるきっかけとなった酒井邦秀さんが理事を務める非営利団体
NPO多言語多読
この記事で多読に興味を持って下さった方は、こちらでより深く多読の理解を得られます。
多読の講座や他の多読実践者との交流もあり、基本1人で進める多読がより楽しくなるはずです。

ここまでお読み下さりありがとうございます。
せっかく読んで下さったのに、このまま終わってはもったいない。
さっそく今日から始めてみませんか!

Nachi
中3の時の私の英語力は中1。
英語が嫌いなまま大人になりました。

社会人になってからは「大好きなミュージカルをブロードウェイで観たい」→よし英語や!
という単純な動機で英語学習をスタート。
直後に多読と出会う。

叶うなら本を読むだけの毎日を送りたい。
洋書とコーヒーを求めて日々梅田界隈を彷徨っています。
梅田ダンジョン完全攻略者。多読歴17年。


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