マット・デイモン主演で2015年に映画化された「オデッセイ」の原作【The Martian】(邦題 : 火星の人)
火星で一人取り残された宇宙飛行士のサバイバルストーリーです。

著者のAndy Weirの最新作はライアン・ゴズリング主演の映画で2026年にリリース予定だとか。
彼を一躍有名人にした【The Martian】を読み終えたのでブックレビューを書いていきます。
The Martian あらすじと難易度
読みやすさレベル : 8 ★★★★★★★★☆☆
総語数 : 総語数 : 104,588
語彙に関する感想 : 宇宙船や関連する機器、設備、化学・物理・数学に関する語彙がめちゃくちゃ多い
※このブログでは多読的な読書方法なので、読みやすさレベルという表現で難易度を示してゆきます。ざっくり言うと語彙や文法の難しさだけでなく、本の密度や長さ、ストーリーの分かりやすさ等も考慮した「読みやすさ」のレベルです。
導入部あらすじ : 出だしからいきなりFワード

“I’m pretty much fucked”
からストーリーは始まります。いきなりFワード。
主人公の宇宙飛行士Markはプロジェクトの一員として火星探査へとやってきましたが、激しい砂嵐に襲われチームは火星からの退去を決定します。砂嵐の中を宇宙船へと向かう中、Markが突如視界から消えてしまう。
懸命に探し出そうと努める司令官のLewisですが、他のクルーの命を守る為にも辛い決断を下します。

砂嵐が過ぎ去り、自分がだけが取り残された事に気付いたMark。
“I’m pretty much fucked”
「まじで詰んでる」
状況なのでした。
エンジニアリングを駆使して問題を解決していく様が最高

次から次へと現れる問題をMarkが自分の知識を使って解決していく様が最高に面白いです。
物理・化学や数学の用語がめっちゃ出てくるので細かい理解は難しいのですが、何をしようとしているのかの状況が分かれば楽しめます。
私は映画を先に見ていたので、何とか食らいついて読み進められました。超上級者でない限り、映画を先に見ておく事をオススメします。
The Martianが最初に話題になったのは、マニアの間でこの小説やべぇとなって注目を集めたそうです。
それ位にエンジニアリングの観点から見てもリアリティのある内容だという事だと思います。
おそらく日本語で書かれていたとしても、知識不足で完全には理解できない所もありそうです。
ただ基本的な化学・物理や数学の英語の語彙があればこの問題解決の課程がもっと楽しめたと思います。
Markの性格が最高

こんな絶望的な状況にも関わらず、Markは超ポジティブです。
絶望的である事はしっかりと理解しながらも、これを実現するためにはまずこれを解決して、この問題はまだ残ってるがそれはとりあえず置いといて…。と、そのポジティブさどこから来るの?と言いたくなるくらい、焦らず問題を解決していきます。
他のクルーが火星に持ってきていたドラマを楽しみ、ディスコミュージックでノリノリになったりします。
Markの皮肉の籠った(でもバカにしてる訳じゃない)ウィットに富んだ発言でプッと吹き出してしまう所も沢山ありました。
Markの言葉はよく言えばとってもカジュアルな英語、悪く言えばお下品な言葉使いです。
その辺りは真面目に取り組むNASAの職員との対比でとても面白かったです。
難易度は高め。だけど読みたい
実はThe Martianは6年前に一度読んだことのある本でした。
ただこの本は6年前の私の読めるレベルを遥かに超えており、めちゃくちゃ時間をかけて読み切りました。
多読的には「すらすらと読める本を大量に読む」というのが前提ですが、映画がめちゃくちゃ面白かった事もあり、たまたま洋書セールで見つけて購入してずっと積読だった事もあり、チャレンジしてみたのでした。
「すらすら読める本を読むというのは分かっているけれど、どうしてもこの本が読みたいんだ!」
というのは多読を続けている方なら一度は経験した事があると思います。
それで挫折したとしてもいいんです。(挫折では無く、多読的には「合わない本は投げる」です)
あ、これやっぱり無理だと思えば、自分のレベルに合ったものを読む事の大切さに気付けます。
そして数か月後か数年後にもう一度チャレンジしてみて、以前より読みやすくなっている事に気づき、自分の英語力が上がっている事に嬉しくなります。
難しいのは分かってるけど、これ一回読んでみたいという気持ちを、一回トライすれば気が済むならやってみて良んです。
自信を持って星5つのおすすめの一冊
The Martianは語彙がかなり難しいですがストーリーはめちゃくちゃ面白く、キャラクターも個性が立っていて生き生きとしています。
読んでいると分かりますが、映画版は原作をかなり忠実に再現しています。
原作は長編なので映画では端折られている部分がありますが、ストーリーからキャラクターの名前、性格までほぼ原作通り。
メインキャラクターでは唯一Aresミッションの責任者であるVencat Kapoorの名前が、映画ではVincent Kapoorとなっていました。
この辺りは音の印象の問題でしょうか。「ヴィンセント」という響きはカッコよくて俳優さんのイメージにもピッタリで、ここは映画版の方が好きでした。
俳優さんが原作のイメージ通りなので、セリフを読むたび映画のキャラの顔が浮かんでも違和感がなくニヤリとしてしまいます。
私の大好きな一冊 Andy Weirの
The Martianぜひ読んでみて下さい!
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